ブックタイトル日本結晶学会誌Vol59No4

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概要

日本結晶学会誌Vol59No4

クリスタリットばれる一群のタンパク質をもっている.ヘム分子そのものが,例えば体内時計,イオンチャネルの活性やマイクロRNAの生合成といった重要な生理機能を制御するシグナル因子としての機能をもつことが最近明らかとなっている.転写制御因子として機能するヘムセンサーの場合は,ヘムを分解する酵素,ヘムを輸送するタンパク質やヘムの生合成に関与する酵素などの遺伝子の発現を制御する.一般的には,センサータンパク質にヘムが結合するとタンパク質に大きな構造変化を引き起こし,これがシグナル伝達の引き金になる.ヘム分子がシグナルとなる場合以外にも,タンパク質中のヘム鉄に酸素や一酸化炭素,一酸化窒素などのガス分子の結合・解離がシグナル伝達を引き起こして生理作用の制御を行うタンパク質も広義的にはヘムセンサーと呼ばれている.(理化学研究所放射光科学総合研究センター杉本宏)セラチア菌Serratia Speciesグラム陰性の桿菌で,多数の種類が存在するが,ヒトへの感染の多くがセラチア・マルセッセンス(Serratiamarcescens)である.水や土壌などの通常の自然環境に広く存在している.病原性は弱いが,手術後や重篤な疾患などで免疫力の弱い人に対して感染するため問題となる(いわゆる日和見感染).肺炎,骨髄炎,腹膜炎,眼内炎,尿路感染症などを引き起こす.院内感染の原因菌ともなっており,多剤耐性株の動向が警戒されている.(理化学研究所放射光科学総合研究センター杉本宏)マランゴニ対流Marangoni Convection自由表面において,温度差や溶質などの濃度差がある場合,それに応じて表面張力に勾配が生じる.この不均一な表面張力分布によって駆動される液体の流れはマランゴニ対流と呼ばれる.特に温度差に起因する場合,熱毛管対流(thermo-capillary convection)とも呼ばれる.溶質の種類や濃度によって表面張力へ与える影響は異なるが,一般的には温度が高くなるほど表面張力が小さくなるため,例えば,温度分布のある液体表面では,自由表面は高温側から低温側へと引っ張られることになる.この自由表面移動の影響が液体内部へ伝わることで対流が引き起こされる.マランゴニ対流は自然対流(密度差対流・浮力対流)とは異なり,重力に依存しない現象である.したがって微小重力環境では,自然対流による影響が小さくなる一方で,マランゴニ対流が顕在化する.(東京大学大学院農学生命科学研究科,学習院大学理学部中村顕)190日本結晶学会誌第59巻第4号(2017)