ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No5

ページ
30/52

このページは 日本結晶学会誌Vol58No5 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

日本結晶学会誌Vol58No5

クリスタリットギン酸,ヒスチジンの順に配置される触媒残基と触媒残基のセリンの周囲のGGSXGGLLモチーフをもつα/β/αサンドウィッチの触媒ドメインとβプロペラドメインを有する.代表的なものに,インスリンの分泌に関与するヒトDPP4がある.Clan PA S46は,塩基性と疎水性アミノ酸を認識するDPP7,DAP BIIタイプと,酸性アミノ酸を認識するDPP11タイプがあり,キモトリプシン様の触媒ドメインとαヘリックスに富んだヘリカルドメインにより構成される.糖非発酵グラム陰性菌のペリプラズム中では,この2つのファミリーのDPPが栄養源・炭素源となるジペプチドの産生を担っている.(岩手医科大学薬学部阪本泰光)Morph座標Morph Coordinates同じタンパク質だが2つ以上の異なる状態をもつタンパク質などの構造の座標を用いて,異なる状態の中間の座標をLSQMAN,UCSF Chimera,PyMOL(RigiMOL)などのソフトウェアを用いて,補完生成した変形過程の座標.これらの座標は,構造変化のアニメーションの素材や分子置換法でのモデル座標として使われている.ソフトウェアPhenixでは,morph座標を用いて,分子置換法による構造決定を補助する機能が実装されている.(岩手医科大学薬学部阪本泰光)ダブルβバレル構造Double Beta Barrel Structure逆並行βストランドにより構成されるβシートが筒状になった逆平行βバレルドメインを2つからなる構造で,MEROPS Clan PAに属するキモトリプシンやDAP BII,DPP11などに見られる.これらの酵素では,アミノ末端側のβバレルに触媒残基のヒスチジンとアスパラギン酸がカルボキシル末端側にセリンが存在し,活性中心は,2つのβバレルドメインに挟まれた配置となっている.(岩手医科大学薬学部阪本泰光)232日本結晶学会誌第58巻第5号(2016)