ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No1

概要

日本結晶学会誌Vol58No1

日本結晶学会誌 第58巻 第1号（2016） 41イオン間相互作用がイオン液体の液体構造や輸送物性に与える影響：Ab initio分子軌道法，分子動力学法を用いた解析6．まとめ分子軌道法，分子動力学法などの計算化学手法を使うと実験だけで明らかにすることが困難な分子間相互作用や凝縮系での分子の運動の詳細を明らかにすることができる．本稿ではイオン液体の研究への計算化学手法の利用について紹介したが，同様の手法は有機結晶や液晶，高分子などの研究にも適用できる．計算化学手法は分子液体や分子結晶などの分子集合体の構造や物性を研究する際の有力な研究手法になりつつある．今後，計算化学手法が多くの研究分野で広く利用され，有機材料の合理的な設計などにも役立つことを期待している．文　献1） 都築誠二：有機分子の分子間力：Ab initio分子軌道法による分子間相互作用エネルギーの解析, 東京大学出版会（ 2015）.2） S. Tsuzuki and A. Fujii: Phys. Chem. Chem. Phys. 10, 2584（ 2008）.3） S. Tsuzuki, K. Honda, T. Uchimaru, M. Mikami and K. Tanabe: J.Am. Chem. Soc. 124, 104（ 2002）.4） T. H. Dunning: Jr., J. Phys. Chem. A 104, 9062（ 2000）.5） S. Tsuzuki, H. Tokuda, K. Hayamizu and M. Watanabe: J. Phys.Chem. B 109, 16474（ 2005）.6） S. Tsuzuki, H. Tokuda and M. Mikami: Phys. Chem. Chem. Phys. 9,4780（ 2007）.7） S. Tsuzuki, R. Katoh and M. Mikami: Molecular Physics, 12, 106（2008）.8） S. Tsuzuki, W. Shinoda, H. Saito, M. Mikami, H. Tokuda and M.Watanab: J. Phys. Chem. B 113, 10641（ 2009）.9） S. Tsuzuki: ChemPhysChem 13, 1664（ 2012）.10） S. Tsuzuki, T. Umecky, H. Matsumoto, W. Shinoda and M. Mikami:J. Phys. Chem. B 114, 11390（ 2010）.11） S. Tsuzuki, Hajime Matsumoto, W. Shinoda and M. Mikami: Phys.Chem. Chem. Phys. 13, 5987（ 2011）.12） N. Terasawa, S. Tsuzuki, T. Umecky, Y. Saito and H. Matsumoto:Chem. Commun. 46, 1730（ 2010）.プロフィール都築誠二　Seiji TSUZUKI国立研究開発法人 産業技術総合研究所 機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターResearch Center for Computational Design ofAdvanced Functional Materials（CD-FMat）National Institute of Advanced Industrial Science andTechnology（AIST）〒305-8568 つくば市梅園1-1 産総研つくば中央第2 事業所AIST Tsukuba Central 2, 1-1-1 Umezono, Tsukuba,Ibaraki 305-8568, JapanTEL. 029-861-9288, FAX. 029-851-5426e-mail: s.tsuzuki@aist.go.jp最終学歴：東京大学大学院理学系研究科化学専門課程修士課程修了，博士（理学）．専門分野：計算化学，分子間相互作用現在の研究テーマ：ab initio分子軌道計算による分子間相互作用の解析，イオン間相互作用とイオン液体の液体物性