ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No1

概要

日本結晶学会誌Vol58No1

日本結晶学会誌 第58巻 第1号（2016） 23イミダゾリウム系イオン液体の階層的・ガラスダイナミクスぎ）とも考えられ，興味深い．また，ナノ構造のダイナミクス，イオン拡散，イミダゾリウム環の局所運動，アルキル鎖の回転運動を観測し，階層構造を反映した緩和マップを描くことに成功した．イオン拡散がガラスダイナミクスと直接関係しており，イオン間のクーロン力により支配されていることも示した．本研究では追求しきれなかったが，ナノ構造緩和とガラスダイナミクスの関係は非常に興味深い問題であり，今後の展開が待たれる．謝　辞本研究は，多くの方々の協力の下，行われた．山室研究室の元メンバーである稲村泰弘博士，宮崎京子氏，実験をサポートしていただいたNISTの長尾道弘博士，Madhusudan Tyagi博士，東大（現在は産総研）の上木岳士博士，重水素置換試料を合成していただいた横国大の北沢侑造博士，渡邉正義教授に厚く御礼申し上げる．文　献1） J. N. C. Lopes, M. F. Costa Gomes and A. A. H. Padua: J. Phys.Chem. B 110, 16816（2006）．2） A. Triolo, O. Russina, H. -J. Bleif and E. Di Cola: J. Phys. Chem. B111, 4641（2007）．3） A. Triolo, O. Russina, B. Fazio, R. Triolo and E. Di Cola: Chem.Phys. Lett. 457, 362（2008）．4） H. V. R. Annapureddy, H. K. Kashyap, P. M. De Blase and C. J.Margulis: J. Phys. Chem. B 114, 16838（2010）．5） O. Yamamuro, T. Yamada, M. Kofu, M. Nakakoshi and M. Nagao:J. Chem. Phys. 135, 054508（2011）．6） M. Kofu, M. Nagao, T. Ueki, Y. Kitazawa, Y. Nakamura, S.Sawamura, M. Watanabe and O. Yamamuro: J. Phys. Chem. B 117,2773（2013）．7） M. Kofu, M. Tyagi, Y. Inamura, K. Miyazaki and O. Yamamuro: J.Chem. Phys. 143, 234502（2015）．8） F. Nemoto, M. Kofu and O. Yamamuro: J. Phys. Chem. B 119, 5028（2015）．9） G. Saielli, A. Bagno and Y. Wang: J. Phys. Chem. B 119, 3829（2015）．10） H. Tokuda, S. Tsuzuki, Md. A. B. H. Susan, K. Hayamizu and M.Watanabe: J. Phys. Chem. B 110, 19593（2006）．プロフィール古府麻衣子　Maiko KOFU東京大学物性研究所Institute for Solid State Physics, University of Tokyo〒277-8581 千葉県柏市柏の葉5-1-55-1-5 Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8581,Japane-mail: kofu@issp.u-tokyo.ac.jp最終学歴：東北大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程終了専門分野：物性物理，物性化学，中性子散乱現在の研究テーマ：イオン液体，単分子磁石，金属水素化物の中性子散乱趣味：スポーツ観戦山室　修　Osamu YAMAMURO東京大学物性研究所Institute for Solid State Physics, University of Tokyo〒277-8581 千葉県柏市柏の葉5-1-55-1-5 Kashiwanoha, Kashiwa, Chiba 277-8581,Japane-mail: yamamuro@issp.u-tokyo.ac.jp最終学歴：大阪大学大学院理学研究科無機および物理化学専攻後期課程終了専門分野：化学物理，中性子散乱現在の研究テーマ：ガラス・過冷却液体，イオン液体，金属水素化物の中性子散乱と熱測定趣味：テレビドラマ・映画鑑賞