ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

談話室おり, PbZrO 3のPhaseが温度や化学組成の変化の影響を受けて変化するという研究内容を聞いて今後行う予定であるZrを含んだ鉱物の高温研究に活かそうと思いました.講演で私が強く印象に残った発表は8月9日にPlenaryLectureで行われた, D. Bish氏による「The First X-ray PowderDiffraction Measurements on Mars」です.文字どおり火星上で行われたXRD粉末実験です.ローバーを火星に下ろしてその場で土壌や岩石をXRDにより解析するという実験手法でした. NASAと共同で行う実験とのことですが,私は隕石に興味をもっています.この発表を聞いてなにか貢献できることを考えたりして,とても興味深かったです.また, 8月11日にあったKeynote Lecturesで行われたL.Dubrovinsky氏による「Polymorphism and ElectronicTransformations of Deep Earth Minerals」も勉強になりました. L. Dubrovinsky氏はNatureやScienceに掲載された論文を多くもつ高圧鉱物学の専門家で私自身何度か論文を読ませていただいたことのある方でした.今回の講演は超高圧環境下における鉱物の物性変化についての発表でしたが,とても興味深い内容かつ論文を読んだことのある方の発表だったのでそのような人の発表を聞くことができたのでIUCr会議に参加できたことがとても嬉しく思いました.また,これから私が高圧実験をやっていくうえでのヒントや,研究していくうえでのモチベーションにつながりました.私自身はポスター発表を行いました.質疑応答の際に私の考えていることを相手に伝えられずに歯がゆい思いをしました.今後考えていることをうまく伝えられるように英語の勉強をさらにしようと思いました.同世代の海外の学生のポスターにも積極的に質問を行い海外の学生のレベルを知り,もっと学問に精進しようと思いました.ポスター発表は時間がよくなかったのか,ポスターセッションを聞きにくる人が少なく残念に思いました.IUCr2014が主催したイベントはJazz NightやBanquetなどでジャズの生演奏を聞くことができたり, Banquetではカナダならではの料理が食べられたりと満足することができました.モントリオールの市街地観光ではオリンピック会場やモントリオールの沿岸を周回するクルージングなどを楽しみました.特にオリンピック会場は工事中の場所もあり,入場料金が高額でしたが競技場やモントリオールタワーを間近で見ることができてとても満足しました.カナダでの食事ではケベック料理というものも食べてみました.ケベック料理はウサギを食べると「地球の歩き方」にも書いてあったので人生初のウサギ料理というものを食べてみました.ペットとしても飼われることの多いウサギなので,食べるのは少しためらわれましたが,味わい的には鶏肉に近くとてもおいしかったです.モントリオールの市街地は地下鉄も整備されており,空港へのアクセスも一日に何本もバスが出ていることからとても住み心地のいい街だと思いました.私は国際学会に参加するのは今回で3回目になりますが, IUCr2014は会場も町並みも美しく,学会の規模も大きくてこのような学会に参加できたことを非常に光栄に思いました.今回拝聴した講演はどれも刺激的でした.そして英語と自分の研究についての勉強不足を痛感しました.これから私は博士後期過程に進学します.今回感じたことを忘れずにこれからの研究のモチベーションにしていこうと思いました.今回は飛行機に乗り遅れたり,ホテルの取り間違いをされたりと不幸が続きました.以前から国際学会参加の際に不幸が続いていたので,吉朝先生からは私が「不幸病」にかかっているのではないかと疑われ始めています.次期開催は3年後のインドです.インドでの学会にもし参加できたらインドではトラブルには巻き込まれることがないようにと祈っています.IUCr2014報告大阪府立大学理学系研究科久保田佳基去る8月5日より1週間にわたりカナダ・モントリオールにおいて第23回世界結晶学連合会議が開催されました.今回私は学内業務の都合により4日目からの参加となりました.今年は世界結晶年ということもあり,記念講演や特別企画に対して大きな期待をもって現地に乗り込みました.会場のPalais des congres de Montrealは, IUCrのような大規模の国際会議も楽々できる広さがありました.セッション会場は大きなホールが3,中・小規模の部屋が10ほどに分かれていましたが,その大きさがあまりにアンバランスで,小さめの部屋では人気のあるセッションは立ち見や座り込む人も少なくありませんでした.一方でポスターセッションの会場は広々として混雑はなく,ゆったりと議論がされていたように思います.ただ,ポスターセッションの時間がかなり遅くに設定されていたため,この大きな会議の割には人が少なかったように感じました.私が興味をもっている電子密度解析や粉末未知構造決定のMicrosymposiaは主に前半にプログラムされていたので聞くことができず残念でした.そのため私が聞いた中で興味をもった発表について紹介させていただくことにします.ポスターセッション会場の様子418日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)