ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み世界結晶年記念講演会「結晶の美しい世界と,私たちの未来」大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻井上豪Tsuyoshi INOUE: Memorial Lectures of International Year of Crystallogaphy(IYCr)“Crystals: Beauty and our Future”1.はじめに平成26年11月2日(日曜日)の午後1時,東京大学本郷キャンパス伊藤国際学術研究センターの伊藤謝恩ホールにおいて世界結晶年日本委員会主催の記念講演会「結晶の美しい世界と,私たちの未来」が開催された.例年,日本結晶学会年会は2日間の日程で開催されるが,今年は「世界結晶年International Year of Crystallography2014(IYCr2014)」を実質的に担当する学会として3日間の開催となり,その中日に日本結晶学会主催の会員向けの記念シンポジウム(午前)と,世界結晶年日本委員会主催の一般向け記念講演会(午後)を開催し,ご来賓をそのまま日本結晶学会年会の懇親会にご招待するという流れの中で開催された.特に,本記念講演会は1年間のIYCr2014の活動を締めくくる最も重要な記念行事と位置付けられ,一般向けの広報にも力を入れた結果, 500名が収容可能な講演会場に延べ数では400名を超える来場者を数えて成功裏に終えることができた.2.記念講演会第1部では,これまでの100年間の日本における結晶学の歴史を振り返った.司会役の日本委員会副委員長の栗原和枝教授が,ラウエやブラッグらのノーベル賞受賞の年に,彼らより遙かに複雑で困難な課題に,東京大学教授の寺田寅彦や日本結晶学会初代会長の西川正治らが取り組んでいたという事実を,このことが書かれている当日配布の資料(理研ニュース)を片手に熱弁を振われ,講演会が開始された.このことは,日本委員会委員長の飯島澄男先生のご挨拶,日本学術会議会長の大西隆会長や内閣府政策統括官の倉持隆雄様(科学技術イノベーション担当)のご祝辞のあと,「寺田寅彦からの100年」と題した,同じ東京大学の雨宮慶幸講師からもご紹介をいただいた.第2部では,「結晶が魅せる美しい世界」と題して5名の著名な先生方にご講演をいただいた.まずは,寺田寅彦教授の弟子の1人で, 1936年に世界初の人工結晶の作製に成功した北海道大学教授の中谷宇吉郎先生のご息女の3人(中谷オルセン咲子講師,中谷芙二子講師,中谷三代子講師;それぞれ地質学者,芸術家,ピアニストとして世界的にも著名)が揃ってお見えになられ,ご講演をいただいた.名城大学の飯島澄男講師によるカーボンナノチューブの発見とその応用に関するお話や,東京理科大学の中井泉講師による300年前の芸術品を復活させるお話は,タイトルのとおり,一般参加の方々のみならず結晶学会会員をも魅了した.続く第3部「結晶からうまれる私たちの未来」では,佐藤勝昭講師,佐川眞人講師,井上晴夫講師,後藤俊男講師に「結晶」が拓く最先端の科学技術についてご紹介いただいた.折しも赤坂・天野・中村らの3氏が青色LEDを飯島澄男先生(世界結晶年日本委員会委員長)378日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)