ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み図2 milsil 34号の特集記事第1回図3サイエンスアゴラの案内(7)プログラム‘Crystallography in Africa’を強化し,結晶学の教育が十分でない地域での同様なプログラムを作り上げること,これらの目標は密接に関連し, IUCr内での活動は公共の研究や教育での活動を盛んにすることが必要とされる.これらの目標に呼応し,国内の活動もなされた.日本での活動の主なものは高田昌樹実行委員会委員長が紹介される.ラウエ・ブラッグと時期を同じくして出された寺田寅彦の結晶回折の業績に始まり,その弟子である西川正治や中谷宇吉郎の貢献の再発見(理化学研究所で見出された多くの西川のX線写真の乾板は,まさに再発見であった)など日本における結晶学の歴史が紹介されたことは,改めて先人の志に目を向け,今後の科学技術の発展に向けての気持ちを新たにさせるものであった.世界結晶年の活動をどうすすめるのか,いろいろ候補がでたので,一般への啓蒙活動が大事なら,東京上野の科学博物館と一緒に何かをさせていただけないかと同博物館の折原守理事に相談に伺った.同館での活動について,いろいろな可能性を教えていただき,また科学博物館の機関誌milsil(ミルシル)に世界結晶年特集「結晶原子・分子の世界への入り口-世界結晶年2014」を10回シリーズで掲載してくださることになった. 2013年7月号(34号)に第1回として大橋先生が「結晶学の歴史」を執筆し,その後,毎回,さまざまな分野の話題を紹介している.世界結晶年2014年を挟んで3年にわたるこの出版活動は,徐々に結晶年に関心を盛り上げる活動としてありがたいものであった.また,第4回(2014年1月37号)に「青色発光ダイオードの実現-高品質窒素ガリウム単結晶が果たした役割」を執筆くださった赤崎勇先生(名城大学)が,2014年のノーベル物理学賞をご受章になったことは,大変うれしいニュースであった. 2015年3月の第11回が最終回となり,このシリーズは終了する.お世話になった科学博物館の宮脇律郎先生と編集担当者の笹原依子さんにお礼を申し上げる.日本委員会側の担当は大橋先生,高田先生と栗原であった.科学博物館での活動として,日本結晶成長学会との企画展「美しき機能材料-人工結晶」が2014年10月28日より2015年1月12日まで,上野本館で開催されている.同館では小学生・中学生を対象とする「夏休みサイエンススクウェア」も開催されており,ぜひ,出展させていただきたいと菅原先生が準備を担当されたが,ちょうどカナダで開催されたIUCr総会と時期が重なり断念,その代わりに11月8, 9日の両日に東京お台場の未来館でのサイエンスアゴラに出展した.内容は「世界結晶年-折り紙や封筒で結晶模型を創ろう」であり, 2008年のIUCr大阪大会でも好評だった企画である.菅原先生によれば「小学生を中心に参加者が引きも切らずにみえ,折り紙を折るために用意したスペースは終日満席の状態,折り方の説明は300部が,来場者に手渡した結晶のパンフレットは500部がなくなりました」という盛況であった.大阪に続き今回も細谷治夫先生(お茶の水女子大学)に講師をお願いし,お世話になった.担当の関根あき子先生(東工大),足立伸一先生(KEK)に加え,多くの先生方にお手伝いただいた.サイエンスアゴラの1週間前, 11月2日(日)には,結晶学会の年会において一般向けの世界結晶年(IYCr2014)記念講演会「結晶の美しい世界と,私たちの未来」が開催され,寺田寅彦の紹介から現代の結晶学まで広範な講演がなされた.中谷宇吉郎のお嬢さん方(皆さんシニア)の父君中谷博士の様子のお話には,年月の扉が開き,百年間がすっと続いた気がした.多くの学生も参加し,立ち見も出350日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)