ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

ページ
12/104

このページは 日本結晶学会誌Vol56No6 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

日本結晶学会誌Vol56No6

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

日本結晶学会誌Vol56No6

特集:世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み日本結晶学会誌56,348-351(2014)日本学術会議IUCr分科会における世界結晶年関連の活動について東北大学原子分子材料科学高等研究機構,日本学術会議22期化学委員会委員長/IUCr分科会委員長Kazue KURIHARA: International Year of Crystallography 2014 in Japan栗原和枝1.はじめに世界結晶年2014(International Year of Crystallography2014, IYCr2014)も,あと1か月で終了である.日本結晶学会の年会時に開催された世界結晶年シンポジウム(11月2日,東京大学伊藤謝恩ホール)は大変な盛況で,多くの方々から世界結晶年の活動は良かったという感想を聞いた.関係者への感謝を改めて感じる.会誌編集部から,世界結晶年の準備について書くようにとの依頼を受けたので,関係された皆様への感謝の意味でスタートまでの活動を紹介させていただき記録としたいと思う.幅広い活動からさまざまな立場で参加された方がいらっしゃり,敬称など不統一な点はご寛容いただきたい.2.世界結晶年の制定,国連決定IUCr(International Union of Crystallography,世界結晶連合)への日本の正式な代表機関は日本学術会議であることをご存じだろうか?国際学術団体との対応は,特にICSU(International Council for Science,国際科学会議)傘下の団体を中心に日本学術会議の大きな任務の1つであり, IUCrも対象の1つであって,団体の分担金が国費から負担されている.そのための対応の委員会がIUCr分科会である.現代結晶学の誕生から100年を記念して「世界結晶年」を制定しようという提案は大橋裕二先生がIUCr会長の時にIUCr内で議論されはじめ, 2008年の会長退任後IUCr代表としてICSUに出席して, 2010年に「世界結晶年」を提案した. ICSUで了承を得て,ユネスコに提案して承認され, 2012年の国際連合の総会にモロッコ政府から提案された.モロッコ結晶学会の会長の親しい友人がモロッコ国連大使だったという幸運に恵まれた.通常,世界○○年の提案は複数国からなされることが多いそうだが,現代結晶学の誕生から100年のタイミングを逃さないために,今回は多数の国で準備する余裕がなく,モロッコ単独の提案という通常とは少し異なる形となったそうである.そこで,英国にあるIUCr事務局より,各国の国連代表にお願いして国連総会で「世界結晶年」の提案に賛成してほしいという依頼が世界中に送られた. 2012年初めのことである. IUCr分科会委員の大部分は,世界○○年を実施するのは国際連合総会の承認が必要とのことも,その時に初めて知った.日本からも何とか手助けしたいと,その年の4月初旬に日本結晶学会は甲斐泰会長(当時)の要請文を玄葉光一郎外務大臣宛に提出した.またIUCr分科会としては,日本学術会議の国際対応担当の春日文子副会長,事務局の菅豪氏らとも相談して,国際結晶年の意義をまとめ,大橋先生が要請文を提出した際の外務省の様子を日本学術会議大西隆会長にお伝えしたところ,外務省へ学術会議会長からの依頼を提出してくださることになった. 3部(理工系)の役員の先生方も応援くださった.その依頼提出のお図1日本学術会議会長の依頼文348日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)