ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No1

ページ
9/92

このページは 日本結晶学会誌Vol56No1 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

日本結晶学会誌Vol56No1

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

日本結晶学会誌Vol56No1

特集:新時代の結晶学-X線自由電子レーザー日本結晶学会誌56,1-2(2014)世界結晶年に寄せて会長坂田誠Makoto SAKATA: On IYCr2014 as the President of CrSJ1.これまでの経緯いよいよ待望の世界結晶年である2014年が始まりました.世界的には, 1月20日~21日にパリにあるUNESCO本部にて国際結晶学連合(IUCr)により, IYCr2014 OpeningCeremonyが開催されます.わが国においては,ほぼ時を同じくして, 1月23日に日本学術会議において日本結晶学会も共催団体の1つとして,「世界結晶年(IYCr2014)オープニングシンポジウム」が,開催されます.本誌が,会員の皆様に届くころには,両方とも成功裡に終了していることと思います.これから1年間にわたって,大小各種の催しが展開されていくことと思います.本学会においても,種々の活動が予定されていますが,学会誌としても編集委員会において,本年発行されるすべての号において,ミニ特集を設けることが決まりました.早速,本号においては,「新時代の結晶学-X線自由電子レーザー」として特集が組まれております.以後続々と世界結晶年に相応しい特集が登場する運びとなっております.この文章も,会長としてミニ特集全体の巻頭言的立場で企画されたようです.ただ,巻頭言としてはかなりの分量が与えられましたので,少し立ち入ったことも書くことことにします.それにより,会員の皆様が世界結晶年に対するご理解を深めていただき,長い1年ですので,所属する機関でのオープンキャンパスなどの折に,結晶学関連のコーナーを設けるなどにより,主体的・積極的に世界結晶年に参加されることを訴えたいと思っています.まずは,日本結晶学会としての,世界結晶年に対するこれまでの取り組みについて,簡単に述べることにします. IUCrおよびUNESCOの働きかけにより国際連合の総会においてIYCr2014が2012年7月3日付で宣言されました.それに先立って,結晶に関係する学会が数多く存在する日本からも,世界結晶年の国連決議の採択を支援するために, IUCrへの直接の窓口になっている学術会議(日本学術会議IUCr分科会委員長,日本学術会議結晶学分科会委員長およびIUCr国内委員会委員長)と日本結晶学会が一緒になって,関係日本結晶学会誌第56巻第1号(2014)する学会へ支援要請を致しました.昔のことを知る方々に対しては,結晶学研究連絡委員会と結晶学会が共同で,2014年を世界結晶年とする国際連合の決議を得るための支援を,関連学協会にお願いしたということになります.かなり急なお願いであったにもかかわらず, 31もの学協会のご支援をいただくことができ,それにより学術会議会長から外務省への働き掛けもあり,国連決議へと繋がりました.このような決議案採択以前の活動があったために,自然な流れとして,準備委員会を経て多くの関連学協会の支援の下に世界結晶年日本委員会が, 2013年9月16日に正式に立ち上がりました.以上の経緯により,世界におけるIYCr2014の取りまとめは, IUCrが行いますが,日本における世界結晶年の取りまとめは,日本委員会が行うことになっています.日本委員会を支援していただいている学協会は,決議案採択支援をしていただいた学協会を中心として,現在では37にも上っています.結晶学会も,その内の1つではありますが,日本委員会の中心的学会になっていることを会員の皆様には,ご理解いただきたいと思っております.日本委員会および実行委員会のメンバーに,多くの結晶学会会員の方々が名を連ねていることも,そのことの現れです.2.近代結晶学の発展2014年を世界結晶年とする国際連合の決議書(Resolutionadopted by the General Assembly on 3 July 2012)の中に,いくつかその理由が述べられています.例えば,“Consideringalso the significance of the scientific achievements ofcrystallography, as illustrated by twenty-three Nobel Prizesawarded in the area, and that crystallography is still fertileground for new and promising fundamental research,”とか“Considering further that 2014 marks the centenary of thebeginning of modern crystallography and its identificationas the most powerful tool for structure determination ofmatter,”のように,近代結晶学が誕生して輝かしい歴史を刻んできたことが挙げられています.したがって日本結晶1