ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No1

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日本結晶学会誌Vol56No1

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概要

日本結晶学会誌Vol56No1

中迫雅由,苙口友隆,関口優希,小林周,橋本早紀,白濱圭也,山本雅貴,高山裕貴,米倉功治,眞木さおり,引間孝明,高橋幸生,鈴木明大,松永幸大,乾弥生,登野健介,亀島敬,城地保昌,犬伏雄一,星貴彦図4金属材料粒子の単粒子構造解析とその応用.(Structuralanalysis of single-shot diffraction patterns from noncrystallinemetal particles.)(A)250 nm金コロイド粒子10個の集団からの回折パターンと位相回復電子密度図.(B)XFEL-CXDI実験で明らかになった銅キューブ粒子のサイズ分布(灰色)と走査電子顕微鏡観察で得られたサイズ分布(白)の比較. 15)それぞれ4時間で12,800の回折パターンを記録し,孤立粒子からの1,000パターンについて粒子径を算出してヒストグラム化することで粒度分布を明らかにした.さらに,7 nm分解能での像回復によって,ナノボックス形成では,最初に部分的中空構造が形成されること,中空構造が粒子径に相関して大きくなることなどが判明した. 30)同様に,特定条件下で作製された銅キューブ粒子について, 7時間の測定で得た8,738の回折パターンから像回復された1,276の粒子投影像について,サイズ分布と個々の粒子の投影電子密度を同時に得ることができている. 15)粒子サイズ分布解析は,これまで,動的光散乱,レーザー回折や電子顕微鏡による方法が一般的であったが, SACLA-CXDIは,サイズ分布と個々粒子の内部組織を複合的に解析する新たな図5サブミクロンサイズ細胞内オルガネラからの単ショット回折パターンと位相回復電子密度図.(Singleshotdiffraction patterns from organelle particles andthe phase-retrieved electron density maps.)分析方法を提供する.非結晶生体粒子試料としては,バクテリア細胞やそのオルガネラなどの低温CXDI実験が行われている.いずれの試料でも,十分な強度で記録された回折パターンでは30~50 nm程度の分解能で投影電子密度図を再構成できる(図5).現在,一連のXFEL-CXDI実験で到達している生体試料の分解能は,光学顕微鏡では到達できない領域に達しており,試料の厚さも電子顕微鏡で見透かすことのできないものである.細胞やオルガネラのイメージングでは,細胞周期と内部構造の関連性に注意を払い,光学顕微鏡イメージングなどを利用して,培養や高純度かつ高品質の試料懸濁液調製に努め,支持膜への粒子固定法や照射野の密度調整法を開発している.軽元素で構成された生体粒子試料の平均電子密度は小さく,周辺とのコントラストも低い.像回復ではサポート32日本結晶学会誌第56巻第1号(2014)