日本結晶学会誌Vol55No3

日本結晶学会誌Vol55No3 page 39/82

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概要:
日本結晶学会誌Vol55No3

放射光X線回折によるミオシンクロスブリッジの頭部間相互作用―ミオシンフィラメントの筋収縮制御の構造的基盤図2弛緩状態のカエル骨格筋(生筋)からのX線回折像.(X-ray diffraction pattern from live resting frog skeletalmuscles.)(a)両フィラメントのフルオーバーラップ筋のX線回折像.縦方向,筋肉の繊維軸に平行. M,子午軸;E,赤道軸. M1-M11,ミオシンフィラメント由来の反射. C2-C5, Cタンパク質と関係した子午反射.括弧内の数字は実空間でのスペーシングをnm単位で示す.(b)ミオシン由来の1次から11次の層線反射の強度分布.図3Cタンパク質由来の子午反射強度プロフィル.(Axial intensity profiles of the C-protein-associated meridionalreflections.)(a)C1/M1領域. 1/45.33と1/42.96(単位;nm ?1)はそれぞれCタンパク質周期とミオシン周期の1次反射の位置を示す. TN1,トロポニン反射.(b)-(e)C2-C5領域の強度分布.(f)Cタンパク質(●)とミオシン反射(◆)の軸方向の平均スペーシング.(○)(a)のC1/M1領域主ピークのスペーシング.2.2 Cタンパク質の周期性骨格筋のX線回折像の子午軸上にはミオシン由来の反射だけではなくCタンパク質によると思われる反射が比較的強く観測されている.ミオシン由来の層線反射強度にCタンパク質が寄与するのかどうかを明らかにすることは,太いミオシンフィラメントの正確なモデリングを行う上で重要である.われわれは,図2aのCと記した子午軸上に周期的に現れている弱い反射群に着目した.これらの内,最も強度が強く観測される反射は~1/44.5 nm ?1の位置にある(図3a).この反射はCタンパク質を抗体でラベルすると強くなることから,少なくともCタンパク質が日本結晶学会誌第55巻第3号(2013)寄与している反射であると言われてきた. 21)しかしこの位置にはミオシン由来の1次反射(~1/42.9 nm ?1)やミオシンフィラメント骨格の形状因子が寄与するなど複数の構造由来の反射が重なっていて,この反射のスペーシングからCタンパク質の周期を一義的に決定するのは困難である. 9),10)そこでわれわれは図2aのC2-C5と記した反射を高次反射と見なしてCタンパク質の周期を測定した.初めに対象とするC2-C5反射に観測される子午方向のサンプリングピークの間隔を測定した(図3a-e).その結果,干渉距離は660±70 nmとなり,電顕で報告されているM線の両側に存在するCタンパク質結合領域(Cゾーン)205