日本結晶学会誌Vol55No3

日本結晶学会誌Vol55No3 page 34/82

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日本結晶学会誌Vol55No3

仲庭哲津子,深田はるみ,黒木良太,木下誉富異なるグループに分類できることがわかった(表2).3.5 X線結晶構造M1~M7変異体のX線結晶構造を2.69~3.5 Aで決定した.各変異体は,すべて野生型と同様の立体構造を保持していたが,システイン変異部位近傍に構造変化が見られた.すなわちM1変異体では,導入されたSer245(OG)がα1L14上のGlu247(N)およびPhe248(N)との間に野生型にはない2つの水素結合を形成していた(図5a).同様に, M2でも導入されたSer116(SG)がAsn117側鎖と新たに水素結合を形成していた(図5b). M3で導入されたAla163は,基質などと相互作用する重要な疎水性ポケットに位置しているが,基質認識ポケットの形状を大きく損なうような構造変化はなかった.分子内部に最初に変異を加えたM4では,導入されたVal79のβ炭素がLys336の主鎖の酸素原子との接触を避けるように動き,αCヘリックス近傍の構造変化をもたらしている(図6a). M5では,導入されたVal137によって,間接的にLys83とGlu329間との塩橋を解離させ,疎水的環境中のTyr133, Trp324,Asp326とGlu329が形成する水素結合ネットワークを破図4 DSC測定によるシステイン置換変異体の熱安定性.(DSC curves for the wild-type protein and thecysteine mutants.)矢印は2つの熱変性転移(T m1,T m2 transition)を示す.図5M1, M2変異体のシステイン変異部位C245S,C116Sで形成された水素結合.(Hydrohobic bondsof the cysteine-deficient mutant M1, M2 structures.)点線は水素結合部位を示す.(a)Cys245の側鎖はダブルコンフォメーションを形成している.図6システイン変異C79V, C137V, C213V近傍の構造比較.(Comparison of the wild-type JNK1 structure with theseven cysteine-deficient mutant structures.)点線は水素結合を示す.200日本結晶学会誌第55巻第3号(2013)