日本結晶学会誌Vol55No3

日本結晶学会誌Vol55No3 page 10/82

電子ブックを開く

このページは 日本結晶学会誌Vol55No3 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
日本結晶学会誌Vol55No3

坂田修身図6ηηηSi(001):Asからの測定AsK蛍光規格化強度(黒丸),測定鏡面反射回折強度(▲),測定鏡面反射強度(□)vsブラッグ角からのはずれ角?θ.(Observedintensity profiles of As K emission, specularly diffractedX-rays, and specular X-rays from Si(001):As 2×1 as a function of ?θ.)実線は,入射ビームの発散角を考慮しフィッティングされた計算蛍光曲線.網平面とρは,(a)(220), 0,(b)(2 _ 20),69.8 mrad,(c)(040), 49.3 mrad.入射X線エネルギー17.0 keV.測定,計算回折プロファイルを比較して横軸の角度は決定された. Si(220)を試料と(+,-)配置となるよう前置した.つまり,(a),(b)に対しては非分散型(+,-)平行配置.蛍光測定には高純度Ge半導体検出器を利用.= [ M + M cos{ 2π( 1?l)}]p= [ M + M cos{ 2π( 1?l)}]p220 1 2220 2 1= ( M + M )cos{ 2π( 1?l)}]p040 1 2lは(220)網平面間隔で規格化されたAs-Asボンド長(つまり, 2ld 220)であり, p=exp(2π2 /d 2 220)である.測定AsK蛍光規格化強度を式(20)を用い,フィッテ_ングしてη220=0.10±0.05,η2 20=0.25±0.05,η040=-0.32±0.07を得た.上の3個の方程式の左辺にこれら2の値を代入すると, M 1, M 2, lがそれぞれ< u || >関数として計算できる. 0? M 1+M 2 ? 1は必ず満たすことから,ドメイン比の割合1.35 ? M 2 / M 1 ? 1.29,ダイマーのAs-As2距離は0.257から0.252 nmの範囲にあること, 0 ? < u || >? 0.022 nmと解析できた.ちなみに, M 1+M 2=1の場合,2ダイマーのAs-As距離0.252(5)nm,=0.022(7)nm, M 1=0.44(7), M 2=0.56(7)となった.例えば,報告されたダイマーのAs-As距離0.255 nm 39) 2の場合, < u || >=0.015(7)nm, M 1=0.35(7), M 2=0.46(7)となった.2.3.3薄膜中のGAXSWの観察基板単結晶上に育成されたエピタキシャル薄膜のGAXSWは,薄膜-基板界面からの反射を考慮すると,ep薄膜の上では3波,薄膜中では8波{D i oj exp(-2πik ojepi・r),epD i hj exp(-2πik hjepi・r)},基板内では4波から構成されるはずである.電場の振幅を表す式は電場と磁場の結晶表面?1?1?2図7 GaAs(111)上にエピタキシャル成長したCa 0.39Sr 0.61F 2(10 nm厚)からの測定SrK蛍光規格化強度(黒丸)vsブラッグ角からのはずれ角?θ.(Observed intensityprofiles of Sr K emission from 10 nm-thickCa 0.31Sr 0.61F 2 epitaxially grown on GaAs(111)as afunction of ?θ.)実線は,薄膜中8波で形成されたGAXSWによって生じる計算蛍光曲線.破線は基板で形成される波動場で励起される計算蛍光曲線.点線は表面内にSrが均一に分布している場合.入射ビームの発散角を考慮.入射X線エネルギー17.97 keV.測定,計算回折プロファイルを比較し横軸の角度は決定された. Ge(220)を前置結晶とし,やや分散のある(+,-)配置.測定鏡面反射回折強度,測定鏡面反射強度の表示は省略した.(z=0)における境界条件,および,薄膜-基板界面(z=t)における境界条件,電場の振幅比から表現される. 40)薄膜中(0 ? z ? t=Nd v, Nは膜の原子枚数, d vは表面垂直方向の原子面間隔)の深さzにおける電場強度は,式(15)から類推できる.filmI ( y′, z, y) = | D exp( ?2πik z)(21)ここで,y′は薄膜-基板界面より上で定義され,薄膜の網平面間の位置である(網平面上でy′=0, 1). yは薄膜の網平面と基板の網平面の位置のずれを表す.薄膜の網平面に垂直方向,深さz=nd vにある薄膜を構成する原子から励起される薄膜全体からの二次放射線強度は式(18)を薄膜の深さ方向に和をとったものである.film4 epiepiΣj= 1 ojoj⊥epiepihjhj⊥+ D exp( ?2πik z)exp{ ? 2πi( y′+ y)}|N?1filmRf( y′, y) =Σn=0 [ I ( y′, ndv, y)fcepiepi+ {|ΣD exp( ?2πik nd ) |4 2j= 1 ojoj⊥v4 epiepi 2j= 1 hjhj⊥v+ |ΣD exp( ?2πik nd ) | }( 1?f )](22)逆格子ベクトルに平行方向(つまり,試料表面内)の薄膜全体にわたるコヒーレント率は,着目原子(その原子からの蛍光強度を測定)の膜中の分布関数g(y′)を用い次式で表される.filmfilmc2176日本結晶学会誌第55巻第3号(2013)